小鳥/芳賀梨花子
ひとりでいるということは
どういうことなのかしら
慣れていたはずなのに
いったんふたりを知ってしまうと
すごく怖いことのような気がして
若葉さす あのやまなみが
ひときわ美しいから
ごまかしがききません
さきおとといから乳房はつらなり
昨日おとといとあなたの寝言に鳴き喚き
今日 わたしは小鳥になりました
これからはひとりの小鳥
さしずめ男は郭公で
巣を奪われた百舌の雛は
生きながらえることはありません
かわいそうに でも しかたがないことなの
だから だいじにしておやりなさい
さようならと言うのは
あしたにいたしましょう
羽根が生えそろうまでには
時間がかかると思うから
戻る 編 削 Point(8)