みどり よびこ ?/木立 悟
濡れた羽が陽に群がり
熱と風をついばんでいる
粒にこぼれ 分かれる光
陽のかたちをひろげゆく
わずかな空と多くの地があり
様々な花に覆われている
重なりとはざまのひとつひとつが
別の空のようにかがやいている
土の手を持つ老人はさまよう
空までとどく建物のこと
時間を満たし 鳴り響くもの
数歩さきをゆき 追いつけぬものごと
声が降りつづくなかをすぎ
失われかけた緑をすぎる
自らの死のあとも完成は無い
受け入れるか否かを迷いさまよう
波紋 よどみ さざ波
応えること つくること
家のあるものもないものも
灯の下をすぎ 影を残す
とうもろこしのにおいがしている
たてつけの悪い窓をしめ
はさまれた覆いを引き出すと
陽は水や羽のむこうへ遠のいてゆく
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