まだ見ぬ街へ/AKiHiCo
 
窓辺にそっと思うは過去の日々
風に靡くレースカーテンに
ひらひら揺らめく影のコントラルト
この四角い世界の外側へ行ってみたくて
思いをあの大樹に馳せては瞼を閉じる

知らぬ街へ駆け出す脚は軽やかで
硝子のビルディングは天を求めて伸び上がる
人々の声がざわめきとなって渦となり
この耳にノイズと姿を変えて流れ込むだろう

教え聞かされた街は
僕の憧れの世界
四角から抜け出した所に在る
野蛮な所だと教えられ
行ってはならぬと叱られた

この身が汚れてはいけないと
惑わしの声が聞こえてはいけないと
纏わされた白いワンピース
そこに沁みる夢の滓
足許には結われた絆の枷

空はこんなに蒼いのに
どうして悲しくなるのだろう





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