やりたいことがあるんです/佐々宝砂
はそれでいいと思っている。それぞれの作者の考えを大事にしたいと思っている。
問題は、批評に対する筆者(作者)の考えがつかみきれないときに起きる。あるいは批評する側のスタンスがはっきりせず、曖昧な言葉を使っているときに起きる。たとえば紙の同人誌の合評会のとき、確か私はまだ二十代終わりくらいだったか、「こういうこと書いて恥ずかしくない?」と訊ねて十代の女の子を泣かせてしまったことがある。私は彼女の詩が悪いものだと思ったわけではない、むしろたいへんいい詩だと思ったのだ。でも私にはこういう内容は恥ずかしくて書けないと思ったので、「恥ずかしくない?」と訊ねたのだった。「Tバックってなんか恥ずかしくない
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