やりたいことがあるんです/佐々宝砂
くれているからだと思っていた。しかし実際には、おそらく、私に「批評の書き方の一例」を示すための批評だったのだろうと思う。その人自身が批評の重要性を認識していて、批評の書き手を欲していたからなのだろうと思う。私はほんとのことを言えば、たいした批評屋ではない。でも批評が好きだ。批評の書き手になりたかった。私に「批評の書き方の一例」を示してくれた人に感謝を捧げたかった。しかし世の中は、思った通りには進まない。そのくらいのことは認識しておこう、でも絶望はしないでおこう、私もはや三十半ばを過ぎたけれど、まだ介護保険を払う年齢ではない。
批評の書き手は、自分の文章に対する批評・批判を覚悟しなくてはならな
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