◆もぎたての夏/千波 一也
 
てもぎたての夏





よろこびは青ざめるほど美しく疑いの樹に実りは満ちる


かなしみが残らなければ涸れてしまう千年先もはじまりはここ





鳥たちを探しつづけて空の底ちいさな歌を無数に揺れる


さかさまに生まれたぼくの子守唄あの枝先でいま風にのる





終わらない夏の代わりに瞬いて鎖骨は刻むひかりの断章










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