病床で/円谷一
車の走り去る音が水飛沫のように聞こえて心地良かった
誰かが車を閉める音が夏休みを彷彿とさせた
熱は下がったが医者から絶対安静と言われた
まだ咳と痰が出る
動くとすぐだ
こう暇であると天井をじっと見つめて
ありもしない模様を想像してしまう
瞼が非常に重たいので目を瞑る
眠気が無いのでひどく体がむず痒くなってくる
それにじっと耐え沈んだ気持ちで早く良くなることを願う
部屋の中は暖かいが外は音もなく激しく吹雪いている
胸の平原を埋め尽くし打ち付けるように
家には誰もいない
詩を書きたいが頭を使うと悪化するだろう
色々な場所を思い出してみる
すぐ外のベランダや
森林公園の前
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