ビューティフルオブデス/花山草太郎
今の屠殺場は、とてもオートマチックにできている
クレーンとベルトコンベアがチャッチャッチャッで豚も牛もバラバラさ
でも鶏だけは違うんだ
立派な「とさか」を持つヤツなんかは芸術品だから、ぱりっとしたスーツの職人たちが目を閉じて
冥福を祈りながら羽を折るんだ
それはそれは見事なものだよ
美しいんだ
西日が差す真っ赤な工場に、ドレミを置いて逃げてきたようなパイプオルガンの音が響くんだ
ガーンガーンてね
美しいんだよ
穏やかに生まれたのなら暴力的に死ぬべきなんだ
俺には生憎と「とさか」は無いが、死ぬならせめてあの職人たちに殺して欲しい
無菌室でもいい
バックミュージックはラジオでも構わない
鶏を見るような目で俺を見て欲しい
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