詩群「その海から」(01〜10)/たもつ
 
のそばで
草時計を編む



07

水道管に
飛行船が詰まった


その向こうに
また紙は連続する

帰って、今日は
幼いから



08

古い木の雨戸は
あてどころもなく
ここで閉ざされていた
外、
王様の降り積もる音が聞こえる



09

紅茶を飲む僕の鼻先に
サーカスが来ていた
テント小屋の屋根に
穴を開けたのは誰
ピエロが一人
空に向かって落ちていった



10

解放を記念してつくられた広場で
子どもは風を捕まえた
おかずになれば母親が喜ぶと思った
そして今夜も青い玩具の車で
父親を轢いて遊ぶのだった


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