ペズゥ/小原あき
消えた
はっ、として
慌ててドアを開ける
誰もいなかった
まるで神隠しのようで
ふゅー、と
風が部屋に入り込んできた
それが出会いだった
黄色の鳥は
私の部屋のチャイムが鳴ると現れる
そして、訪問者を
一人ずつ食べ尽くして
今では
ひとつの部屋を占領するほどに
大きい
背中に乗られると
潰れてしまうので
今ではベッドに
来てもらう
ペズゥ、と名付けた
昔飼っていた
黒猫の名前だ
ペズゥはいつか
床を踏みぬいてしまうだろう
いつか私は
ペズゥに乗って
誰もいない鳥かごに
飛んでいく
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