ペズゥ/小原あき
玄関のチャイムが鳴ったので
仕方なく立ち上がろうとしたら
背中の上に
重たい鳥が
止まっていた
「どいてくれますか?」
黄色の羽根を
ぱたり、と閉じて
ずん、と居座る
「私は止まり木ではありません」
顔は見れないけど
その眼はきっと
ドアの向こう
「出たいのですが」
背中をぎゅっと掴まれた
捕らえられた獲物だ
「私は食べられませんよ」
冗談を言った
くくくっ、と
黄色の鳥が鳴いた
(訪問者はきっと、あなたを必要としていない)
頭のなかに
つん、と入ってきた
黄色の鳥が飛び立った
ドアの前に
つ、と降りると
煙と共に消え
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