自我像/円谷一
 
 自我像を絵にして生きている
 ゴッホの生まれたオランダ南部のズンデルトで豊かな自然に囲まれて
 元々風景画を専門として描いていたが
 信頼していた精神科医の女性が死んでから
 精神医学を勉強して 自我像を描くようになった
 毎日2、3人の通りすがりの人々の自我像を描いて僅かな収入を得ている
 いつかはこのズンデルトの人々全員の自我像を描くことになるだろう
 自我像を描くのは難しい
 画帳いっぱいに描くとなればそれは大変な作業である
 人々はそれを見れば一発で自分の自我がどんなものであるか分かる
 究極の表現主義である
 それはゴッホの長く伸び うねりのあるタッチと色彩の選択
[次のページ]
戻る   Point(5)