みどり よびこ/木立 悟
 



家の陰の家
窓に映る窓
白詰草 光の辺


鳥と風 声の影
低い曇を照らす原
曇とともに揺れる原


歩むもののないにぎやかな道
川岸に沿い 川に重なり
流れとは逆にたなびいている


花が花をとおりぬけ
手の裏側の水へ落ち
水に水を描いては沈む


風と 風の上のこと
空と 空の上のこと
小さく密な 草のひろがり


遠いかたちが手のひらをすぎる
色や声や大きさのそのままに
そのままにそのままにすぎてゆく

















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