34P 「短歌2」より/むさこ
 
井戸掘の職人たちは泥つけし
顔そのままにしばし仮眠す

階下にて九州土産の風鈴が
台風予報の風に音たつ

名月に逢ふひとときを足らひゐて
たゆたいがちに春間近かなり

【昭和四十八年一月】
ビル街に雨風強く吹き荒れて
歳末戦線今したけなわ

デパートを出づれば夜かと紛ふほど
真昼を暗く低気圧通る





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