月下美人/悠詩
しんでいようと
白い愛は花開く義務があるのだと
白い愛は花開く権利があるのだと
僕は
病に冒された君が
畸形の愛を結実させることが恐かった
僕の裏切りを受けて
裏切りの花を咲かせることに耐えられなかった
苦しんでいる君を見るのが辛く
僕を苦しませる脆弱な君が憎く
おまえなんて死んでしまえと
叫びたいのを必死にこらえ
僕は安楽死とかこつけて
君の義務と権利を奪った
勇気ある決断なんて
存在したんですか?
代替の愛に保険をかけた僕はただの
卑怯者だったんですか?
君を愛していたと信じて
たったひとひらのお札を握りしめ
躊躇しているこの手は
罪なのですか
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