あまだれ/yo-yo
 
雨が降ると いつも
あまだれをじっと見ている
子どものままで
いまも


樋の下でふくらんで
まっすぐ地面に落ちてくる
あまだれ 一ぴき死んだ
あまだれ 二ひき死んだ
あまだれ いっぱい死んだ


小さく膨らんで息をとめる
落ちる瞬間が美しい
言葉のない合図のようだった


おばあさんも死んだ
おとうさんも死んだ
うすぐらい土間の石うす
茶がゆに茄子の古漬け
花いちもんめ
ともちゃんもさようなら
みっちゃんもさようなら
みんな短いあいさつだけで
それきり
あまだれになってしまう


小さなあまだれ
光ったら消える





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