夏風/雨宮 之人
何度目かの夏が来て
また僕はさよならをしなきゃならない
こんにちはもしなきゃならない
どこかから来た夏に
どこかへ行ってしまう夏に
僕たちは
誰かの終わりから始まった
ということは続きだ
さてまた始まるよ
とりあえず夏は始まったよ
僕たちは
生きているという
だからこんにちは
だからさようなら
これを目にしたあなたに僕は告げる
生きるって
要するにそれは
終わらないレールの上を歩いているってことだ
時計の針を、戻しながら
背中に沢山のさよならを
乗せて、手を、振って
東から西へ
とぼとぼと一人ぼっちで
ステア・アップ・トゥ・ヘヴン・フロ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)