秋の羅刹/ヴィリウ
 
あの頃の私は、死ぬ理由ばかり考えていた様に思います。
例えば風が強いとか、梅雨でもないのに雨続きだとか、
貴方に近付く事ばかり、必死に考えていた様に思います。



夏の日差しは、此処もあの場所も変わりませんね。
今も屹度、貴方は溢れるほどの花を抱いているのでしょう。
貴方を愛してくれる、思い続けてくれる沢山の人達が、屹度寄り添ってくれている。
私が共に其の未来をと願った、可愛い貴方の側に。

其の手が、声が、笑顔が私の凡てでした。
貴方の明日が、私の人生でした。

今はもう側に居てあげられない事を許して下さい。

どれ程の花を手に。毎日を此処へ通おうとも、貴方は居
[次のページ]
戻る   Point(1)