自己を愛するための/佐々宝砂
。どのくらい飲まされどのくらい吐いたかわからないが、大型バケツいっぱい吐いたところで私は疲れて寝てしまった。翌日は身体中が痒くなり、顔もおなかも真っ赤っかになり、一日かゆみにのたうちまわった。
聞くところでは、薬物中毒のとき行われる胃洗浄という処置はものすごく苦しく、それこそ「死んだ方がいい」とか「こんなに苦しくてなぜ死ねないんだ」と思うほどのものらしい。私は母の応急処置で生き延びたのだから、まあありがたいと思うべきなのだろう。充分苦しかったし、また、みっともなかったとも思うけれども。こうした、二十歳前後の私がしでかしたいろいろの大バカについて、全部書こうとは思わない。どだい、珍しいものであ
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