青にとける/銀猫
 

淡いかなしみの曇り空が
堪えきれずになみだを落とすと
紫陽花は青

束の間のひとり、を惜しむわたしは
思わず傘を閉じ
煙る色合いとひとつになりたい 

街中の喧騒は
雨の糸に遮られ
時折遠くで跳ねる水溜りの音だけが
日々の暮らしを思い出させる

夜明け前の色から
目覚めぬ空が
ほろほろと水を地に施すと
紫陽花は青

ひとしきりのひとり、の後
灯り始めた街灯が
こころにまでひかりを射し
瞼の潤みをひっそりとあたためる

青やむらさきをくぐり 
愛しいほうへ流れる
こころの水

やわらかな糸に重なった 
愛しい面影  
その肩先で季節の目盛りが
ひとつすすむ 

青、いっそう今日も青く

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