青にとける/銀猫
淡いかなしみの曇り空が
堪えきれずになみだを落とすと
紫陽花は青
束の間のひとり、を惜しむわたしは
思わず傘を閉じ
煙る色合いとひとつになりたい
街中の喧騒は
雨の糸に遮られ
時折遠くで跳ねる水溜りの音だけが
日々の暮らしを思い出させる
夜明け前の色から
目覚めぬ空が
ほろほろと水を地に施すと
紫陽花は青
ひとしきりのひとり、の後
灯り始めた街灯が
こころにまでひかりを射し
瞼の潤みをひっそりとあたためる
青やむらさきをくぐり
愛しいほうへ流れる
こころの水
やわらかな糸に重なった
愛しい面影
その肩先で季節の目盛りが
ひとつすすむ
青、いっそう今日も青く
戻る 編 削 Point(19)