満月のよるに、さまようハート。/阿片孫郎
 
電話が鳴る。着信は独身独り暮らし27歳女子とわかる。
「聞いてよ、今日さ、また例のバカな上司がね、、」
そんなに上司が嫌いなら会社を辞めてしまえば?
「違うの、会社のやり方がね、、」
がんばれ! がんばるのだ!

また電話が鳴るよ。
「こんばんわ。起きてた?」
うん、まだ寝てなかったよ。
「・・・」
ダンナの話?
「・・・。そうなんだけど、、もう聞きたくない、よね」
聞くよ。
「ホント!? じつはね『やめた』って言っていたのに、、」
ああ、真実は言葉の中にはないのだよ。

そしてまた電話が鳴る。
「あ、起きてたんだ?」
電話がかかってきたから目が覚めちゃったんだ
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