パンツが破けた。/阿片孫郎
た」
(ええと、焼き鳥とお好み焼きは…)
『あなたの携帯を見ちゃったの、悪いとは思うけど。で、見つけちゃったの。あなたの、可愛い我が子、、どうしてなの?」
どうして、と、言われても…
「今日も焼き鳥とかお好み焼き食べてご機嫌になってうちに来て私を抱いて名残惜しそうに玄関を出てタクシーに乗って家に帰って可愛い我が子の寝顔を見て幸せだなあ、ってしみじみ浸るんでしょ。許せないよっ。もし私があなたの奥さんだったら…(号泣)」
泣くなよ、、
「泣かせたのは、、あなた、なのよっ!」
ご、ごめん。
「そんなかんたんにあやまらないで!」
翌朝目覚めたら、隣にすやすや眠る我が子がいた。赤ちゃん特有の甘い匂い。
カーテンからは朝の光がひとすじ。
ふすまの向こうのキッチンから、みそ汁にいれたネギのいい匂いがする。
昨晩泣きながら僕に抱かれた、あの子の涙の匂い。
そして昨晩の行為が終わったあとに接吻したときの溢れるような匂い。
「早くしないと遅刻しちゃうわよー」
妻の優しい声で、僕は現実の世界に戻ってこれたのです。
(続く)
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