白い朝顔/生田 稔
 
妻が勤めに白い朝顔が初めて咲いた雨がしきりに降る

ドビュツシー前奏曲集静かな曲妻を想う悲しさを癒す

鎮めても後からわく不安あくなき心配人は空しきもの



電話線には雀が五六羽さわやかな朝歩み行く

冷えた茶を呑めば静かな部屋の中ペンが走るよ白き紙面に

三色の団子を口にはこびつつ何事もなき私の周囲

雨だれが軒下よりおつる昼下がり年金給付に戸惑う人を

人は音楽を愛するべきそしてパンと葡萄酒をとれ主のため

雨音がする雀さえずる合羽をつけた子が通る涼しき夏

戻る   Point(7)