大学時代/ブライアン
すし屋でアルバイトをしていた。
どこで働こうとトイレ掃除は、死神みたいについてきた。
蛍光灯が白く照らしている。
水で洗った雑巾。握った肌色の手、二個。
あ、そうだ、と、
決定的な預言を授かった。
喜びに似た快い感じがする。
笑顔で立ち上がったのだろう、が、
立眩みで忘れてしまう。
ふすまとふすまの間の狭い通路を
走りぬけた。
記憶の断片だけでも落とさないように、走り抜けたのだった。
視界は真っ暗だった。
立ち止まる理由は、記憶の断片に残されはしなかった。
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