大海敷/ヨルノテガム
外は歩いている
二、三人が二、三人の束になって
(読者よ、息を止めよ)
刻々と進みゆく
怪物が
網のワナにはまって、
口をあけて骸は打ち上げられている
死んだ目は「真実とは何か?」を表情で語り始めてくる
彼(主人公)はそこで、もう何も目たくはない
何も耳たくはないを口にするのだ
その僅かな願いは波打際、潮騒の魔法によって
彼の耳を静寂の中に奪う
ほんの遠く
少女の呼びかける声がする
気づいた彼の耳にはよく届かない
少女のこちらへのしぐさ、意味を計りかねる
声もまるで向こうには届かない
少女の波打つ手足の動きは何を表す踊り
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