デッキシューズと貝殻/atsuchan69
マヨネーズだってナンダって舐めてやるぞ!
俺は 明日の朝、
こっそり一人乗りヨットで外洋に出る
梅干入りと、鮭と、塩昆布の
大きなオニギリを三つ持ってな
漁師の娘が拵えてくれたよ
しっかりと海苔で巻いて
沢庵とウツボの干物をひと欠けら、
海では眩しく光るアルミ箔で包んでさ
寝る前に、どうも足の裏が痛いから
ベッドに座って空振りキックして、
布地のデッキシューズを脱げば、なんだ?
小さなピンク色した巻貝を踵で踏んでいた
痛いけどオマエ、みょーに可愛らしいナ
そっと枕の下に
貝殻を敷けば――
忘れてしまった あの渚の恋が
ふたたび疼くのを感じるぜ、
悪戯な潮風が窓辺に訪れては
どよめくような、海鳴りのする夜だ
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