ありふれた日常/doon
 

 一年が365日だと誰かが言ったが
 誰が365日分覚えているもんか
 頭が痛くてたまらなくなる
 きっと頭痛薬漬けの
 かわいそうな薬中人間

 一冊の本は必死で365日覚えた
 僕の 俺の 私達の脳味噌の代わり
 この本の価値は自分が知っている
 自分以外に価値は見出せない
 残念な一冊

 本にも頭にも覚える事が出来なかった
 今日の風 昨日の風
 古書の経っていく美味しい匂い
 私はこの本が燃え上がる風を嗅いでいた

 365分の1の出来事
 目の前に星を飲み込む赤い炎が立ち昇る
 火の粉が無数に
 一人の親から旅立ってすぐに、燃え尽きていく

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