零れ落ちた太陽の下で/結城 森士
感じて…
深海魚は静かに瞳を閉じる。
私は階段を駆け下りて朝の陽だまりを飛び越えて行く
張り詰めたガラスの向こう側で、たくさんの人間が鞄を運んで歩いていく
風と共に通り抜けていった朝の匂い
(おはよう、みんなおはよう!)
声が、帰ってこない。
暗闇に落とした夜色の水彩絵具が全ての穏やかな微笑を黒く染める頃
影となって地に堕ちていった感情、私が/
私が何も考えることの無い人間に変わっていくのを
何についても考えることのない地面に消えていくのを…
(黙って、静かに瞳を閉じる。)
朝が、帰ってこない。
*
一人の
絶望した男が
余力のある限り
絶叫した、その声すら
僕らには聞こえなかった
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