烙月/
たりぽん(大理 奔)
桜花を散らせ
次の季節が吹かせる
湿った風に
なびく美しさを隠したまま
洗い髪みたいに
君は濡れている
よこぎる鳥を数えるように
ひとつひとつ忘れていく
透明な霧の向こう、輪郭
それでもあなたの
たくらみは成功する
いくつかの
胸の書架に
その書物を差し込んで
烙印を押す
消せない記憶は
傷跡よりも痛く
火傷よりも深く
月蝕の輪郭が
夜を灼く
季節が葬られるたびに
湿った風が
草木を湿らせて
辿るように
刻んで濡れる
あなたの石
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