にびいろの声紋(六)/
信天翁
町並みが息を潜めているのに
プロムナードは息を吹き返している
空がセレナードを奏でているのに
海はレクイエムを歌っている
風が雑木林へ愚痴を吐いているのに
光は庭木へウインクしている
箒星がクロノスを黙殺してるのに
明星はカイロスを黙示している
あゝ こごえている四次元の裏側で
またたいているものはなんだろう
─わたしは飲み込んでいた
のど仏に貼りついたひとかたまりの唾液を
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