手帳に記されていた歌(2)/生田 稔
キリストという模範踏みゆけどキリストのみか人は多い
バイブルを読みておるのか向かいの男性表紙の厚きそのごとき本
梅香る野に人群れて歌心そがれて歩む妻と吾
せせらぎの音に惹かるる我が心じっと見つめて今も歩むが
山茶花が一輪咲きて青き葉にある私の遠き青春
二人きてきつね丼注文し待っておるなり田舎亭に
メンデルスゾーン・イタリア二番出しの珈琲で聴く眠い朝
勤めにと妻は出てゆく見送りて水無月の空今日が始まる
(以上すべて4年くらい前の手帳に記されてあり)
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