また夏が来る/北大路京介
 
おやつを我慢しては 花火を買った

刹那の輝き 一瞬の煌めき


向日葵が枯れ始め 陽が落ちるのが早くなり
セミの声がヒグラシに変わる

緑の山も夕焼け色に 少しずつ染まっていく
「オニヤンマを捕まえたい」とチビッコの声がする

北海道に行きたい と 思う気持ちも薄れていき
「梨は幸水にかぎる」と呟く季節が来る

さっさと夏が終わればいいのに 毎年思っている
夏の思い出などないから ただ暑いだけだから


おやつを我慢しては 花火を買った

刹那の輝き 一瞬の煌めき

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