ばぁちゃんより/小太郎
ばぁちゃんよりと 表に書かれたお年玉用の封筒
もうお年玉をもらう歳ではなくなったけれど
僕が帰るたびに ばぁちゃんは封筒にそう書いて渡す
そんな事をしなくても 僕はあなたたちに感謝をしているから
心配しないで と 毎度の台詞
大人は知っているんだ
綺麗な言葉や涙が出てしまう様な不意の感動も素敵だけれど
お金がそれなりの喜びを 人間に与える事を
そしてばぁちゃんは
お金では買えない 感動を求めている
他人の心に残ることができるのなら
それは何より尊いのだと無言の教え
意図を知ると涙が出る
意図を知ると涙が出る行動を 撒き散らせたなら
それは いつか 形になるのかなぁ
僕の周りの大切な人間は誰一人として亡くなってはいない
それだけが今の僕を 懸命に支えている
まだ僕がお世話になった全員に恩返しができる
僕は守られている
思い出しきれないほどの恩によって僕は守られている
僕は寿命の永い人間でよかった
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