曇りガラスの向こうになる前に/doon
 

 心はいまも、ガラス細工のスペースコロニー
 遠く 遠くへ
 数多を駆け抜けて通り過ぎると
 夢を掴もうとした両手は
 さり気なく
 空を見つめた

 ふと
 呼吸には温度があった
 室温以上の
 暖かい命
 両手をかすめて
 ホッと身体に帰っていく

 物語は常に
 1ミリグラム以上の呼吸から始まっていた

 夢を語る優しい少年の心は
 小さく呼吸をはじめた
 物語がひとりでに、夢を目指して歩き始めたのだ
 そっと
 四季の風に耳を下ろして
 そばだてよう
 一つの流れ星が見えるのだから

 心はいまも、ガラス細工のスペースコロニー
 みがけばその向こうに
 夢の星が広がる
 一つ一つが
 宝石のように……
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