冷凍船を拿捕する実験艦シュレスヴィヒ・ホルスタイン/大村 浩一
夕暮れ迫る水平線上に船影が現れる
建造時最高16ノットのレシプロ蒸気機関も
たび重なる異常な改造と整備不良のため
いまでは全速力で10ノットがやっと
復元性不良のためひっくり返りそうにヨタヨタ走る
それでも船足の鈍った相手に追いつくことが出来たのは
放っておくと沈没するのでは、と相手が危ぶんでのことか
それとも牛にならった白黒ブチのミル姉さん風迷彩やら
コークやペプシやハイアースの由美かおる看板、
「みなしの」「あのよろし」など意味不明の垂れ幕やネオン
「どこでイク?」のステ看板で飾り立てられた異様な姿に
警戒感よりは好奇心が働いたものか
相手の船尾には日の丸へんぽんと
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)