届け/柴田柴助
君がいた
ぽつんと君がいた
ぽつんとアイスクリームを食べていた
私もいた
ぽつんじゃないけど私がいた
がつんとアイスクリームを食べていた
チャンネルをまわす
君との出会いのチャンネルを
果てから果てまで
君の姿映るまで
モノクロの記憶が浮かび やがてぷつんと真っ暗に
届きそうで届かない
伸ばした右手がカツンと当たり
君には届かない
何故、何故
外は雨がざあざあと
私は目をゆっくり開く
ああ、何故モノクロだったのか
わかるはずもない
だけれども
本当はモノクロでもよかったのだ
本当にモノクロでよかったのに
願い届かず私はアイスクリームをほおばった
甘い、甘いバニラの味が広がった
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