まぬがれ/錯春
 

 夕飯の支度を し
 おもいだしたように 泣いて 語らって
 ああこれが
 まぬがれない ってことね
 皆、まぬがれてないのね
 わたしは 恋人という
 栓 
 を 見つけて
 風は吹き止まり うずくまり うずまいて
 あの土手の風は どこにも もう 吹いていなくて
 私の鼓膜の内側だけに 残って
 まぬがれなくなってしまった
 
 それは 便利に
 呼びかえられる、もの
 
 愛とかに





 

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