再び人生を問う/生田 稔
再び人生を問う
整理する本棚にみる妻の本ほのぼのとした明るいおもい
オールド・ファション・シボレーが走るハバナの側堤を
夜のキャバレーの黒人歌手みんな独りよがりで生きているのさ
スーパーの広場におれば人さまざま為すことなき身にはふさわし
失望しスーパーでかけ売り買いし働く人に励まさるれば
やや涼し立秋の翌日赤トンボ飛ぶ通り道を歩きゆけば
物語や言い伝えと同じだけ人は妄想を抱きつづける
午後四時に法師蝉はあちこちと声あげはじむ夕暮れ迫る
ふとわれにかえり考う大命題人と神自然と人生
学問で神に関る謎解きえず上に向かいてしきり問うのみ
清く正しく美しく平凡にそのようにして生きてゆきたい
テレビの画面男と女海辺にたわむれてそして二人は?
愛のない世見捨てられた世だ湯につかる温かい愛が伝わる
幸福は身近な君のその家に青い鳥はそこしかいない
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