黄緑/
木立 悟
曲がり角に沿う壁を
鳥の影がすぎてゆく
風のない午後
一羽の午後
少ない雨が来ては去り
灰は薄く街にひろがる
置き去りの光
置き去りの火
黄緑の声が
葉にまぎれ
陽にまぎれ
灰にしたたり
にじんでゆく
冷ややかな壁と爪の影
いつのまにか増える影
しんとした曇りの羽
午後ひるがえす午後
海のにおいの道へとつづく
壁と曲がり角の明るさに
音の足跡を残しては
一葉と一羽の風になり
黄緑と黄緑の姿しずかに
黄緑は黄緑に黄緑に降る
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