夏草の葉陰に/atsuchan69
 
、夢幻のごとくなり」さ

英次が刑務所に入っているあいだ
彼の実家の庭にある柿木は
七たび、実を実らせ 落ちては土に還った
やがて手入れする者も消えてなくなり
たまに訪れると雑草が伸び放題の荒屋となっている
僕は子供と一緒に少しだけ草を刈ったりもした

服役を終え、派手な仲間たちとは別に
英次は、僕と二人だけで酒を飲もう」と云う
断る理由なんか、まったくない
「はちきん」という店の二階を貸切にした

おまえの大好きなカツオのたたきだぞ、喰え

そういえば、世の中すっかり変わっちまったナ
俺の子分どもは、大半がサイボーグになっちまいやがった
今どき生身の人間のヤク
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