ふるえ あがない/木立 悟
 



水の鈴が鳴っている
鈴のあとを鈴がゆく
葉の上
土の上をゆく


手と手をつなぎ
生まれる音
伝えたくて
仕方ない笑み


呼吸を疑い
息を受け入れ
あきらめと光と
言葉を浴びる


夜に重なる水の数と
まぶたに重なる夜の数と
どちらが多いか競ううちに
どちらも涙に流れてしまう


響きが集まり旗になり
未完の自画像に降りつもり
鈴のあとをゆく鈴を迷わせ
そしてふたたび響きへ還る


痛みも熱も手にむずがゆい
夜に重なる水の底から
夜は朝になりはじめ
共に鳴るものをさがしはじめる










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