つゆむらさき/唐草フウ
そう厚くない 空の層から
シャワーは今日もふる
せせらぐのは 大気の雑踏内を
散歩するようなきもちにして
がくぶちに青から赤
藍から藤へと染めこんで
雨が恋する
さみしい花なら
頬紅ぬれて
咲き誇るのをよそに
小走りしたいような心境の娘
待ってな
つよくなる夏まで
つゆむらさきは
雨が途切れたころに
おわかれだと
誰もしっていた気がする
時は過ぎて 空の層は少しずつ
めくれてゆく
次は日没に空で逢おうと
つゆむらさきは星に投げかけた
すこし 誇らしげになって
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