イメージ‥‥十二/soft_machine
 

遺品のひとつの箪笥から
なぜか俺の手袋がでてきた
この家は
むかし奴の家
いまは俺の家

公衆トイレからでてきた老夫がスキップしている
軽やかに

昇天

 *

レミングがゆく地図には
いっぽんの道しか記されていない

恋人で
親子で
ゆく
糞も地雷もふまず
輝きだけを知る
レミングがゆく
振り返ることの忌み

 *

海峡の嵐
簡単に転覆する船
砂漠のにおいがする夜
風は自分の民を海岸で洗う

この海の朱は哀しみと希望
この雨の黒は解放の戦い

ジブラルタルを船がゆく
ピースして笑ったモロッコの娘が
暗闇に投げ出され見えなくなると
故国の朝日に打ち上がる

そして彼女の恋人は
今日も戦場で引き金を引いている





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