世界と名前とカミナリ/嘉村奈緒
 





身近なものに世界という名前を与える
だから私たちは世界を知っている
世界という名前を与えた私たちは
神である







おのおのが良いと思う形で祈り
おのおのが良いと思う言葉で祝福する
どれもが違った姿で
違った世界にいるとされる
けれども良いと思う祈りと
良いと思う祝福で
いつもそこにあれと願うそれは
神という名前の
世界である
私たちの
良いと思う
そこにあれと
最初から最後まで
簡素に
願う







ひとつの荒野を
醜い姿が走っている
背のような場所から
紫色のカミナリを
恥じらいもな
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