回転式自動ドア/チアーヌ
 
ないように
必死に
歩いているのに

でも
まっさかさまに
落ちていくとき
というのは
案外
気持ちいい

どん、
と下に着くまでは


落ちた先で目を覚ますと
そうっと起き上がり
また気をつけながら
歩き始める

這い上がることは
もう
できないから
平坦な道を行く

一番最初
自分がどこから
落ちてきたのか
なんて
もう
思い出せない

踏み外さないように
踏み外さないように

毎日
必死に
歩いている

でも時折
回転式自動ドアに
出会う
何度も何度も
出会う

わたしには
無事に
向こう側へ行くことなど
できないのに

怖くて
足がすくむ
通れない
通っちゃいけない

回転式自動ドアは
わたしの目の前で
ぐるぐる
回っている

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