砂/相良ゆう
 
その砂の一粒一粒が積もり積もって
砂の海となって世界を沈める

手のひらの上の砂は
指の先からさらさらと
音も無く滑り堕ちてゆく

舞い上がる砂埃は風に攫われて
最果ての地へと流されていく

その砂の一粒一粒が積もり積もって
やがてまた世界を埋め尽くす




ああ 砂よ 汝の名は「為」なり
ああ 砂よ 汝の正体は「人」なり




黄なる泉におり立ちて
沙の波をうちそむき
真砂の道を踏みしめて
独り巌を目指さんと
月冴ゆ夜に天高く
砂上の楼閣を普請する














そしてまた 足元の砂を拾い上げる
弄ばれながら 再び誰が指の隙間を
さらさら と さらさら と …







ああ 砂よ 汝の名は「夢」なり

砂の城では飽き足らず
砂の衣まで拵える

汝は「人」なり
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