映画/ロカニクス
 
物を砂
これから抱える荷物を雪とした

映画を観た後
冬が来る冬が来る
その前にこれから夏が来る
いずれ冬が来たら
この雪は本当の雪に埋もれてしまうのだろう

だからこの荷物を
もっと荷物として慈しまなくてはいけない
雪になりたいけど決して雪にはならない
その事実ごと抱えて歩かなくてはならない
そのときはここにいるよ
砂も雪も懐かしいものも
懐かしいものが本当は無いということも

映画を観た後
観客は一人だけだった
その観客は砂を踏んで家に帰った
今だけは安らぎたいのだろう
いずれ全ては新雪で新しくなるのだから


戻る   Point(6)