蜜色の夢/朽木 裕
 
って思ってた。幸福の味がするって云ってた蜂蜜の味、一緒に舐めれば良かった。

 「…私、君のことが好きだったんだ、」

 今更、気付くなんて馬鹿みたい。もう君は居ないのに。もう二度と帰ってこないのに。
君は終わりにしたんだ、あの時あの写真の中で。泣きながら笑っていたんだ、きっと。あの時の君は。

眠りは深く緞帳を下ろして、黒をも目覚めさせはしなかった。口元に僅かな微笑。私は蜜色の夢の中、眠りにつくことにした。
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