波打ち際/
shu
のなかで
削られた痛みはこんなに
たくさん小さくなって
まあるくなって
チリチリと切なくて
やりきれなくて
やさしくて
飛び立つには脆すぎて
泣きそうなめいっぱいの笑顔で
―ここは地上なんやから
と駆けだしていくおまえ
両手をひろげて
バタバタ羽ばたいて
よろけながら
バカみたいに
空に向かって
―そうやな
と笑いながら
おれもぐっと指に力をこめて
流れる砂を
踏んで
踏んで
寄せては返す波打ち際を
走り抜ける
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