砂の彫像/なかがわひろか
 
砂漠の砂でお城を作る少女がいた
お城は少し難しいから
山を一緒に作ろうか
そういうと、少女はにこりと笑って頷いた

私たちは少女の背丈くらいまである山を作って
真反対から穴を掘り進めた
途中山は崩れそうになったが
砂には少しの水を混ぜて丈夫にしておいたから
崩れることはなかった

私は少女のペースに合わせてゆっくりと
穴を掘り進めて行く
少女は爪の中に砂をぎっしりと埋めながら
穴を掘り進めて行く

手と手が出会う

温かい

少女はまた私を見て
にこりと笑った

少女はいつまでもずっと山の中に腕を突っ込んだままだった
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